ここまでのあらすじ
京都の地でお坊さんに声をかけられた俺。
いよいよ京都のラストデーが始まった。
第8話 お坊さん
京都にはいたるところに神社仏閣がある。
特に京都市内のお寺は1681箇所もあるらしい。
したがってお坊さんも多い。
声をかけてきたお坊さんは言った。
「どうも〜お疲れ様です!原町JC谷田部です!ブロック大会よろしくお願いしますね!」
これは最近の口癖らしい。続けてお坊さんは言った。
「お土産は買いました?美味しい漬物屋教えますよ?」
確かにお土産はまだ買っていなかった。しかし俺はカミさんに言われていた。漬物だけはもうやめて、と。
「漬物以外でいいお土産は無いですかね?」
そう聞くと強い口調でお坊さんは言った。
「京都と言えばお漬物!京都と言えばお漬物!」
その強引な勢いに俺がたじろいでいると背後から光が差してきた。
後ろを振り向くと別のお坊さんが後光と微笑みをたたえながら立っていた。
本宮の佐藤教順和尚(本物)だ。
「その方はお坊さんではありません。」
俺はビックリして言った。
「どう見てもお坊さんじゃないか!」
「京都と言えばお漬物!京都と言えばお漬物!」
教順和尚(本物)は諭すように俺に言った。
「お坊さんに見えるからといってみんながお坊さんとは限りません。」
「京都と言えばお漬物!京都と言えばお漬物!」
静かな口調で教順和尚(本物)は続けた。
「京都のお土産ならお漬物以外にも色々とありますよ。」
「京都と言えばお漬物!京都と言えばお漬物!」
「例えば阿闍梨餅(あじゃりもち)はいかがですか?もちもちとした食感と上品な甘さで人気のお土産です。皇室にも献上されている由緒あるお菓子です。奥様もきっと喜ばれますよ。」
「京都といえばあじゃりもち!京都といえばあじゃりもち!」
ありがたい!そのお土産ならカミさんも大喜び間違いなしだ!ありがとう教順和尚(本物)!
俺はお坊さん達?に別れを告げ早速その阿闍梨餅を求めてその本店へと向かった。
つづく。